【澤田理絵の３文日記】

思わずふふっと頬が緩むコラムを毎月お届けします。

「これまで出会った共演者」

皆さんこんにちは。
昼間はまだ暑いですが、夕方の風には秋の気配が感じられるようになりましたね。
夏のお疲れは出ていませんか？
　メルマガのバックナンバーを読んでいたら、みながわさんが3月に書いてくれたコラムが目に留まりました。
本番前に緊張のあまり豹変する共演者の話です。
本当にいろんな人がいるので、私もこれまで出会ったいろいろな共演者について書いてみます。
　まず、荷物。
引っ越し？夜逃げ？と見まごうほどの大荷物で楽屋入りする人がいます。
ドレス数着とパニエに靴、メイク道具にヘアアイロンなどなど、基本みんな荷物は多いですが、その比ではないのです。
で、その引っ越し荷物さながらには何が入っているかというと、歌う前のストレッチ用のヨガマット、楽屋で気兼ねなく使う箱ティッシュ、ミニ加湿器、ドレス用のアイロン、そして大量のお菓子！
どれもあると助かるものかもしれませんが、それらを公共交通機関で持ち運ぶ大変さはいかばかりでしょう！
本番前につかれてしまいそう！
　お次は、楽屋を我が家のように散らかす人。
準備に必要なものが一目でわかるようにとお店を広げるのですが、結局いざ使うときになるとあれが無い、これが無いと大騒ぎ。そして、撤収の時はそれをかたずけるわけなので、最後まで忙しくなってしまうんですよね。
　上記２パターンは物理的なものなので、こちらも半分面白がってみていられるのですが、メンタルについては本当に人それぞれです。
　ベテランでも緊張するし、若い演奏家でもとてもゆったりおおらかな人もいます。
演奏直前まで音出しをしたい人、舞台に出る1時間前からは貝のように飲まず食わずしゃべらずの人、逆に喋り捲る人、歩き回る人などなど。
　こんな風に書くと、楽屋はカオスと思われるかもしれませんね？
ちょっと見方を変えてみると、これらの行動は演奏家が良い音楽を生み出すための個々のルーティーンといえるのかもしれません。
　私のルーティーンは念入りにストレッチをすることと、本番30分前に何か食べること。
演奏会の楽屋裏では、衣装やヘアメイクの準備に加え、心と体の準備もしっかりして、お客様と音楽を楽しむ旅に出るのです。
　次号のメルマガでは、すっかり涼しくなりましたね、とご挨拶できるといいなあと願いつつ、お互い元気に10月を迎えられますように。
　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ソプラノ澤田理絵