【澤田理絵の３文日記】

思わずふふっと頬が緩むコラムを毎月お届けします。

「点字の絵本」

こんにちは。
夏日があったりする10月、お元気でお過ごしですか？
まだ早いかな？と思いつつ、寝具を冬仕様にしてみたところ、朝までぐっすり眠れるようになりました。今年の酷暑は、知らず知らずのうちに睡眠を浅くしていたんだなあと、改めて実感しました。
　10月といえば、イタリアのボローニャという町で、世界最大の絵本展が開かれます。
ボローニャの代表的なパスタは、皆さんよくご存じのボロネーゼ、俗にいうミートソースですね。
　話を戻して、その絵本展に今年は日本から点字の絵本を出店することになり、その作成のお手伝いをさせていただきました。点字の絵本とは、市販されている絵本に、原本と同じ文章が点字で書かれた透明シールを貼り付けます。こうすれば、目の不自由な人は点字を読み、健常者は目で楽しめるユニバーサル絵本の完成です。
　私も、娘たちが小さかった頃、この絵本に大変お世話になったものです。毎晩読み聞かせをしたり、娘に絵を説明してもらったり、親子で物語の話をしたりと、思い出をたくさん作ってくれた点字絵本。
今回、作家さんの文章をイタリア語に翻訳し、点字のシールを作るのが私のお仕事でした。さび付いた語学力をフル稼働し、辞書を引きまくり、それでもわからないところはイタリア人の友人に助けてもらいながら、何とか完成。小さい子向けの絵本なので、とにかく擬音語や擬態語が多い！
ちなみに、擬音語や擬態語の数は、世界的に見ても日本語だダントツ多いと言われています。この辺りは文化の違いも大きいので、なかなか難しかったです。犬は日本ではワンワンと吠えますが、アメリカではバウバウ。こういう違いがたくさんあるので、それらを学べたのは、とても大きな収穫でした。
　今頃は、イタリアの目の不自由な子供たちが手に取ってくれているかと思うとわくわくします。
遠い国の子供たちが笑顔になってくれるお手伝いができたなら幸せです。
　久々にどっぷりイタリア語に浸ったので、イタリアの友達とおしゃべりしたくなって、ネット電話をかけてみましたが、当然さび付いた会話力が突然戻るわけもなく！
エーとかアーとかの多いこと！日本は物価が上がって大変よ、と言いたいのに、物価という単語がどうしても出てこず、値段が高いから、買いたいものが買えないと説明したら、貯金はないの？との質問。
いや、貯金云々という話じゃないんだけどと思いつつ、慌てて辞書を引いて、物価が高いと伝えることができました。この間およそ10分くらいの電話でしたが、1時間くらいしゃべったような気がして、どーっと疲れました。
でも、友人はとても根気強い人で、いつでもおしゃべり大歓迎だから、遠慮なくコールしてよなんて言ってくれるんです。なんてありがたいことなのでしょう！
　この秋は、ドイツ語とスペイン語を多く歌うことになっており、来年のコンサートに向けてチェコ語の勉強も始めました。
新しい言葉との出会いはわくわくする半面、これまで使ってきた言葉もブラッシュアップを続けようと思った出来事でした。
やるやる詐欺にならないよう、ちゃんと勉強しようと思います。それではまた来月お会いしましょう。

　ソプラノ澤田理絵