【澤田理絵の３文日記】

思わずふふっと頬が緩むコラムを毎月お届けします。

「もう一つの顔」

 皆さんこんにちは。
口を開けば「熱い！」という言葉しか出ないのは私だけでしょうか？
東京は毎日毎日暑いですが、雨の被害を受けた地域の方々のことが心配です。
1日も早い復旧とご無事を心よりお祈りしています。
　今回は、私の持つもう一つの顔について書いてみようと思います。
実は私、ソプラノ歌手に加え、もう一つ仕事をしています。
それは、音楽療法分野での活動です。
具体的には認知症予防と緩和の研究をしています。
　認知症とは、誰にでも起こりうる脳の状態のことをいいます。
発症理由も治療法も、まだまだ未解決の部分が多いのですが、音楽を用いたアクティビティと社会参加が、予防と緩和に有効であることは研究で明らかにされています。
認知症予防講座で具体的にどんなことをするか少しご紹介しましょう。
脳の活性化には、二つ以上のことを同時におこなうのが効果的とされています。例えば、歌いながら体操をするプラス、考えるなど。「もしもしかめよ」を例にします。この曲の中で、長い音が出てくる箇所があります。ちょっと口ずさんでみてください。
「カメさんよー」「おまえほどー」などですね。　この長い音のところで、私と後出しじゃんけんをしてもらいます。始まる前に、後出しじゃんけんで私に負けてくださいねと、課題をお伝えしておきます。　じゃんけんって、たいていの場合勝つことが目的ですよね？そして、私が出したものを見て、即座に反応しなければいけないということで、普段と違うことを考える。これが脳の活性化につながるわけです。
　大の大人がじゃんけんポン！
特に男性は、はじめは恥ずかしくて参加に消極的ですが、レベルをどんどん上げていくと、ものすごく真剣に取り組むのも男性が多いです。最後には、皆さん笑顔になり、お話になる声もワントーン明るくなるのを感じるのが私の喜びです。
　認知症患者の数は年々増えており、ここ10年で500万人から730万人に増加しています。日本は高齢者が多い国、世界第2位です。
人生100年時代。
体も脳も元気でいられるよう、しっかりメンテナンスしていきたいですね。ぜひ音楽をご活用ください。聞くも良し、歌うは更に良しです。　私も、歌で多くの方を元気にしたいので、まだまだ頑張ります。
　今月のモーニングコンサートチャレンジコーナーでは団伊久磨作曲の「抒情歌」に挑戦します。
とても素晴らしい歌曲集ですので、ぜひお聞きいただけたら幸いです。熱中症に気を付けつつ、夏を楽しみましょう。

それではまた来月お会いしましょう。
　　　　ソプラノ澤田理絵